相続のこと(総説)

相続は、自然人の死亡によって、その人の財産上の権利や義務を死亡した人と一定の範囲の親族関係にある人(相続人という)が、法律上当然に包括的に承継することを言います(民法896条)

 

相続の対象となるのは、死亡した人(被相続人)に属した一切の積極及び消極財産です。(ただし、一身専属的な権利や義務は除きます)

 

(適用される法律)

相続は、相続開始時の法律が適用されますので、被相続人の死亡による相続開始の時期によって、次のような種類に分けられます。

 

(1)家督相続(明治31年7月16日から昭和22年5月2日まで)

(2)遺産相続(       〃            )

(3)昭和22年改正民法附則25条2項の相続(   〃   )

(4)応急措置法による相続(昭和22年5月3日から同年12月31日まで)

(5)現行民法による相続(昭和23年1月1日から)

 

家督相続とは、戸主の財産を含む戸主という地位を相続(承継)することを言います。相続原因は、死亡以外に隠居、入夫婚姻等の生前相続がありました。

 

遺産相続とは、戸主以外の家族員に関する相続を言います。これは死亡相続だけでした。

 

応急措置法による相続とは、昭和22年5月3日から同年12月31日までに開始した相続で旧民法の遺産相続に準ずる取り扱いを受けていました。

 

現民法の相続は、死亡相続だけであり、生前相続は廃止になりました。

尚、失踪宣告があった場合、死亡したものとみなされますので(民31条)、これも死亡相続の一つとなります。