登記簿で登記事項の確認

登記事項証明書(登記簿謄本)の取得

固定資産課税台帳などで、不動産の情報がわかったら、個々の不動産の登記情報(登記簿謄本とか登記事項証明書といいます)をとってみましょう。

 

自分で登記をはじめるとき、まず現在の登記がどうなっているを確認するのです。ときどき、亡くなった方より、ずっと以前のおじいちゃんの名義のままになっているなんてことがあります。

 

登記をせずに、そのままにしておいたんですね。

このようなことになっていないかを確かめるのです。

まず、不動産の地番や家屋番号などを調べます。不動産登記は、物件の所在地を住所ではなくて、地番とか家屋番号で管理しています。

 

これらは、固定資産課税台帳や、権利証に書かれていますから、一度確認してください。

土地  所在、地番、地目、地積
 建物  所在、家屋番号、種類、床面積

そして、この情報をもって、法務局に行きましょう。法務局に着いたら、「登記事項証明書 登記簿謄本・抄本 交付申請書」と題する書面(法務局においています)に必要事項を書いて、登記印紙も貼って、窓口に提出します。

 

登記印紙は、法務局に売っています。不動産1通につき、700円です。土地1つと、建物1つだと1400円です。

まちがえても、普通の収入印紙をはらないでください。

 

登記事項証明書交付申請書

申請後しばらく経つと、呼んでくれますから、対象不動産の現在の登記名義人が、大西博明さんであることを確認します。大西博明さんでなく、例えば甲さんだったら、甲さんの相続登記が必要です。ここでは、間違いなかったとして、話を進めます。


ところで、もし交付申請書の書き方がわからなければ、窓口で聞きましょう。親切に教えてくれると思います。

 

先ほどの登記事項証明書を取り寄せた登記所ですが、全国どこでも結構です。一番近い法務局を見つけて、そこに行きましょう。

 

もし、権利証等がなくて、不動産の地番や家屋番号等がわからない場合、どうしましょう?このときは、その不動産の住所はわかっていると思いますので、その住所を管轄する法務局(この法務局は、どこでも良いというわけにはいきません)に電話して、地番と家屋番号を教えてくださいと聞いてみましょう。

 

そのとき、住所を告げるのです。法務局はブルーマップというものを持っていて、住所から地番を教えてくれます。そして、地番を聞いて、今度は最寄りの法務局に行って、登記事項証明書を発行してもらうとよいのです。 交付申請書の家屋番号欄には、地番と同じ番号を記載します。


登記事項証明書(登記簿謄本)の見方

登記簿謄本(登記事項証明書)を下に示します。

土地建物とも、大西博明さん名義になっています。

ところで、建物は私大西彰との共有となっています。10分の1が大西博明さん名義ですので、この10分の1について、相続登記をすることになるのです。

 

土地のほうは全部大西博明名義となっていますので、土地は全部が相続登記の対象となります。


            <土地の登記事項証明書です>
            <土地の登記事項証明書です>

上の土地の登記簿謄本(登記事項証明書)をご覧ください。中央部の「所有権に関する事項」欄は、登記の目的 所有権移転 原因昭和42年12月20日売買、所有者大西博明となっています。昭和42年12月20日に土地を大西博明さんが買ったことがわかります。


           <建物の登記事項証明書です>
           <建物の登記事項証明書です>

上の建物の登記簿謄本(登記事項証明書)をご覧ください。中央部の「所有権に関する事項」欄は、登記の目的 所有権保存 原因平成12年4月20日 共有者持分10分の9大西彰、10分の1大西博明さんとなっています。

所有権保存登記は、はじめてする登記です。

平成12年4月20日に新築したのですね。


つぎは、

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登記簿(登記事項証明書)の見方(おまけ)

登記簿(登記事項証明書)の見方をご説明します。

登記簿は、表題部と甲区、乙区の3つに分かれています。

 

表題部は、その不動産の所在や広さ等が登記されています。

甲区は、所有権に関する事項が、乙区は所有権以外の権利(例えば、抵当権、根抵当権、賃借権、地上権・・・)に関する事項が記載されています。

下の登記簿で、一番上部に「表題部」と書かれているのがお分かり頂けると思います。所在枚方市楠葉中町1139番98の地目宅地の土地に関する事項が登記されています。

 

表題部は、一般に土地家屋調査士の人が、測量して、登記申請します。

甲区と乙区は、権利の登記といって、表題部に登記された土地や建物が、いつ、どのような原因(売買、贈与、設定等)で誰の名義になっているのかを表します。

ここは通常、司法書士が登記申請します。

 

不動産登記とは、表題部が調査士、権利部が司法書士というふうに、職域が分かれているのです。

 

もちろん、調査士の資格を有していない司法書士は、表題登記を申請できませんし、その逆もです。

甲区1番に登記の目的「所有権移転」となっています。受付年月日・受付番号欄には昭和43年3月11日 第10836号)、その右に権利者その他の事項欄には、昭和42年12月20日売買 所有者大西博明となっています。

 

昭和42年12月20日に大西博明さんがこの土地を買って、その登記を昭和43年3月11日にしています。売買してから、3カ月弱後に登記していますね。

 

一般的には、ちょっと登記するのが遅かったようです。おそらく、父大西博明さんが自分で登記をしたのだと思います。

登記申請が少し遅いといいましたが、一般的に言えば、お金を払ったのだったら、買主の方はなるべく早く登記を自分の名義に移すべきです。

 

売主が第三者に同じ不動産を2重に売りつけ、その第三者の方が先に名義を変更してしまうと、その2重譲渡した相手に負けてしまうからです。

登記を先にした者が勝ち(はやいもん勝ち)なんです。


乙区には、根抵当権の設定登記がなされていますね。

昭和58年2月10日に極度額1500万円、債権の範囲が、銀行取引、手形債権、小切手債権の根抵当権です。

 

債務者は、大西博明さんではないので、大西博明さんは、第3者(有限会社栄和サーベイ)のために、この土地を担保に融資を受けたことがわかります。これを物上保証といいます。

 

尚、乙区1番の登記された事項は、アンダーラインがしてあります。

これは、この乙区1番の根抵当権の登記が抹消されていることを意味します。

 

コンピュータ化される前の古い登記簿では、大きく手書きでばってん(×)と書かれてあるのを見かけられたことは、ありませんか?

それと一緒です。


いつか後ほど、詳しくご説明しますが、抵当権と根抵当権の違いを簡単にご説明します。

 

抵当権は、「この債権について、この抵当権」というように、一つ一つの債権に抵当権が一つ対応しています。

 

一方、根抵当権は、ある範囲の債権(上記例では、銀行取引、手形債権、小切手債権)であれば、極度額の範囲で、すべて担保してくれます。

 

この債権についてこの抵当権という1対1の関係がありません。だから、当該抵当権が担保している債権が、弁済によって消滅すると、その抵当権もなくなってしまいますが、根抵当権の場合は、そのようなことがありません。

 

イメージで言うと、一般の個人の人が住宅ローンを組んだときにつけるのが抵当権、会社が事業上、融資を受けたりする債権を担保するのが根抵当権と、ざっくりですが、お考え戴くと理解しやすいのではないでしょうか。