養子の相続権について

養子には、普通養子(民法792条以下)と特別養子(民法817条の2以下)がありますが、ここでは普通養子縁組ついて、触れていきます。

(特別養子縁組は、次回を予定しています)

 

 

普通養子は、民法で以下のように定められています。

民法第809条

養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。

この規定から明らかなように、普通養子縁組によって養子となった者は、養親の実子と同一の相続権を取得することになります。

 

では、普通養子となった者は、養子縁組をしたことによって、実親の相続権を喪失するのでしょうか?

この点は、次回紹介する特別養子と異なり、実親の相続権を喪失しません。

 

したがって、普通養子となった者は、実親と養親双方の相続権を有することになります。

 

さて、養子縁組を成立させるには、どうしたらよいでしょうか?

民法では、養子縁組の手続きについても、規定されています。

  

第799条

第738条及び第739条の規定は、縁組について準用する。

 

第739条

  1. 婚姻は、戸籍法 (昭和22年法律第224号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。
  2. 前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。

養子縁組と代襲相続

左図を見てください。

AとBが平成16年に養子縁組しています。

養子Bには、DとEという実子がいます。

 

Dは平成12年誕生。

Eは平成17年誕生。

 

そうです。Dは養子縁組前の子(俗にいう連れ子です)。Eは養子縁組後の実子です。

 

このような状況で、平成18年にBが死亡し、平成20年にAが死亡したとします。

 

Aの相続人を考えてみましょう。

配偶者はおらず、子供(養子)Bはすでに死亡しています。

代襲相続の事例ですね。

だから、DとEがBを代襲してAの相続人となりそうです。

 

しかし、そうではないことに注意ください。

AとBが養子縁組したことによって、AとBは親族関係が生じていますが、AとDには親族関係は生じていません。

反対に、Eは、AとBの養子縁組後に誕生していますから、AとEは親族関係が生じています。

 

よって、EはAの代襲相続人ですが、DはAの代襲相続人ではありません。

 

遺産分割協議するときに、誰が相続人なのかをはっきりさせることは、重要ですね。