協議による分割の場合の登記手続

遺産分割協議が行われる場合として、

 

①共同相続登記に行われる場合

②共同相続登記に行われる場合

 

が考えられます。

 

①ですが、この場合、相続を原因として単独申請により、直接取得者名義に相続登記を申請することができます。これは、遺産分割の効果は被相続人の死亡の時に遡って生じるからです(民909条)

 

このホームページでご紹介している「自分で相続登記」は、主にこの共同相続登記することなく、直接取得者名義に変更する方法をご紹介しています。

 

①は「自分で相続登記」の頁をご参照いただくとして、ここでは②のケースを詳しく説明いたしますと、

まず、亡くなった方の相続人全員について、法定相続分で相続登記を申請します。たとえば、登記名義人Aさんが亡くなり、その相続人が長男甲さんと二男乙さんだとします。

甲さんと乙さんの法定の相続分は、各2分の1ですから、登記申請書は以下のようになります。

 

 

登記の目的 所有権移転

原   因 年月日相続

相続人(被相続人A)

 

持分2分の1 住所 甲

持分2分の1 住所 乙

添付書類 登記原因証明情報 住所証明情報 代理権限証明書

 

このように、遺産分割協議を完了していなくても、相続人全員のために相続登記を申請することができるのです。

 

この状態のときに、甲さんと乙さんとの間で、遺産分割協議をすることができ、たとえば協議の結果、乙さんが最終的に当該不動産を取得すると決まったとします。

この乙さんの名義に変更するのが、②の「共同相続登記に行われる場合」における登記なのです。

 

 

登記の目的 甲持分全部移転

原   因 年月日遺産分割

権 利 者 持分2分の1 住所 乙

義 務 者 住所 甲

添付書類 登記原因証明情報 登記済証(登記識別情報)

     甲の印鑑証明書 乙の住所証明情報 代理権限証明書

 

登記原因にご注意ください。原因は「遺産分割」となります。

また、いままでの相続登記のような単独申請ではなく、権利を取得する甲さん(登記権利者)と、権利を失う乙さん(登記義務者)の2人の共同申請となります。

 

 

 

以上の内容を表にしてまとめると、以下の通りとなります。

前か後か 申請手続 原因 登記原因の日付
相続登記前に遺産分割協議 単独申請 相続 相続開始の日
相続登記後に遺産分割協議 共同申請  遺産分割  遺産分割協議の日