胎児名義の相続登記

 民法886条
  1. 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
  2. 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。

不動産登記は、民法886条(第1項)に基づき、胎児名義の相続登記を認めています。

父親が不動産を有していましたが、その父親が死亡したため、相続登記をする場合を考えます。

 

相続人は配偶者(胎児の母親)と胎児です。

まだ生まれていませんが、民法ですでに生まれたものとみなしてくれるので、登記ができるわけです。

 

しかし、生まれてから登記すればよいのではと感じられた方も多いと思います。しかし、その不動産について争いごと生じる可能性があり、すぐに名義を変更しておきたい場合もあるでしょう。

 

だから、手続きを用意しているわけです。

 

 

胎児名義の相続登記の申請書は、以下の通りです。

 

登記申請書

 

登記の目的 所有権移転

原因    年月日相続

相続人   (被相続人甲山太郎) ←亡くなった父親です

      A市B町一丁目2番3号

      持分 2分の1 甲山佐紀 ←胎児の母親です

      同所同番同号

         2分の1 亡甲山太郎妻甲山佐紀胎児

添付書類  登記原因証明情報 住所証明情報 代理権限証書

 

 

赤字の部分が特徴的です。

まだ生まれていませんから、名前がないわけです。

そこで、亡くなった父親の名前と、妻である母親の名前を利用して「亡甲山太郎妻甲山佐紀胎児」を名前として登記するわけです。

また、住所は母親の住所を登記することになります。

 

尚、胎児はまだ生まれていませんから、遺産分割協議ができません。

従って胎児名義の登記を申請する場合は、法定相続によることになります。

 

 

添付書類の登記原因証明情報ですが、亡くなった父親の出生から死亡までのすべての謄本と妻の戸籍謄抄本が必要となります。

これだけだと、妻が懐胎(妊娠)していることがわかりませんが、その添付書類(懐胎証明書)は必要とされていません。