登記識別情報とは、権利証にかわるものです。
いぜんは、権利証(登記済証ともいいます)といって、登記完了と同時に、法務局から発行されました。権利証は超重要書面だから、「金庫」にしまってあるという家庭も多いと思います。
でもいまは、登記のコンピュータ化に伴って、権利証は、発行されなくなったのです。
3けたのマスが4つありますが、この12けたのマスに英語と数字がランダムにうたれているのです。
12けたのマスの部分は、登記が完了して法務局から発行されるときは、目隠しシールが施されています。
この12けたの英数字を見られる(盗まれると)、権利証を盗まれたと同じ危険にさらされるのです。
だから目隠しシールは、はがさないでください。
ところで、登記識別情報は、登記名義人になる申請人に発行されます。細かく言うと、登記名義人にはなるが、申請人でない人には発行されません。
そういう登記があるのかと言えば、たとえば、法定相続分による相続登記が当てはまります。相続人がAさんとBさんの場合でそれぞれの法定相続分が、2分の1だとします。
AさんとBさんが協力して、相続登記をすることは可能ですが、Aさんだけで、法定相続分による相続登記(Aさん2分の1、Bさん2分の1)を申請できてしまうのです。
難しい表現でいうと、保存行為は単独でできるということです。Bさんの2分の1の権利を保存するのですから、Bさんに不測の損害が発生することはなく、AさんがBさんのために自己の持ち分とともに、Bさんの持ち分登記をすることを認めるのです。
この場合、Bさんは登記名義人ではありますが、申請人ではありません。したがって、Bさんには登記識別情報は発行されません。
登記識別情報が発行されなくても、登記事項証明書にきちんと自分の登記がなされていれば、問題はありません。
ただ、その不動産をAさんとBさん2人で誰かに転売したいという場合に、Bさんに登記識別情報が発行されていないと不便なことが考えられます。
Bさんには登記識別情報がないから、やっぱり発行してくれとか、なくなったから再発行してくれと頼んでも無理なんです。
この場合は、事前通知によるか、資格者代理人(通常は司法書士)の本人確認によることが必要となります。
司法書士が転売の登記をする場合に、本人確認を行うとすると、少々手間がかかります。必然的に司法書士に支払う報酬が増えます。
だから、相続登記の場合で、登記名義人になるひとが、複数の場合は、相続人全員で申請し、相続人全員に登記識別情報が発行されるような申請方式で登記されたほうがよいと思います。