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相続登記と住所変更登記

不動産の登記簿をご覧になった方は、お分かりだと思いますが、登記上には所有者の氏名の他、住所が登記されています。

この住所は、登記がされた時の住所ですから、当然その人の住民登録されている住所が引っ越しなどで変化すれば、実際の住所と登記上の住所が一致しなくなります。

このような住所が一致していない状態で、第三者にその不動産を売るとか贈与すると、登記申請書に添付する所有者の印鑑証明書上の住所と登記上の住所が一致しませんので、登記が実行されません。

そこで、売買や贈与等の所有権移転登記をするときには、現在の所有者(売主、贈与者)の住所と登記簿上の住所を一致させるために、所有権移転登記をする前提として、所有権登記名義人住所変更の登記をする必要があります。

それでは所有者として登記されている方が引っ越しなどで、登記上の住所と最後の住所が異なる状態で、亡くなった場合の相続登記はどうでしょうか?

被相続人の最後の住所と登記上の住所が異なる

相続登記の場合は、売買や贈与の時と違って、相続登記の前提として所有権登記名義人住所変更登記をおこなう必要はありません。

但し、その不動産の所有者として登記されている人が、本当に亡くなったということを証明するために、登記上の住所と、被相続人の最後の住所とのつながりが分かる除住民票(または、戸籍・除籍・改製原戸籍の附票)等を相続登記の申請の時に添付する必要があります。

除住民票には、通常、引っ越した時の一つ前の住所が現住所と共に記載されていますから、1回だけの引っ越しならば、廃棄されていない限り、この除住民票でつながりを証明することはできます。

何度も引っ越していて、除住民票だけだとつながりが証明できないときは、戸籍(除籍、改製原戸籍)の附票などを取得してつながりを証明しなければなりません。

それでも、つながりが証明できないことがあります。このときは、当該不動産の登記済証(権利証)を提出すれば認められるようになりました。下記が平成29年に法務省から出されたものです。

 また,平成29年3月にも,添付情報の見直しを行い,所有権の登記名義人である被相続人の登記記録上の住所が戸籍の謄本に記載された本籍と異なる場合において,被相続人の同一性を証する情報として住民票の写し(本籍及び登記記録上の住所が掲載されているものに限る。)又は所有権に関する被相続人名義の登記済証が提供されたときは,不在籍証明書及び不在住証明書など他の添付情報の提供を求めることなく被相続人の同一性を確認することができることとしました。

この通達を素直に読めば、除住民票や戸籍の附票を集めなくても、権利証さえ提出すれば、相続登記は実行されると読めなくもありませんが、どうも法務局内では権利証は除住民票や戸籍の附票が集められない場合の代用として取り扱っているようです。

これは、法務局によって見解が異なると思われますので、実際に権利証で代用される場合は、管轄の法務局に事前に確認された方が良いと思われます。