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遺産分割と特別代理人

遺産分割協議を行う時に、相続人の中に未成年者がいたら、どうしたらよいでしょうか?

この場合、遺産分割協議をおこなうために、家庭裁判所でその未成年者のための特別代理人を選任してもらう必要があります。

 

これは、未成年者は大人と比べて、知識、経験とも十分ではなく、自分にとって不利となる協議でも、なかなか大人に対して、きちっと自分の主張ができない為、未成年者を保護する必要があるからです。

 

誰が分割協議の内容を決めるのか

それでは、未成年者のために、家庭裁判所により選任された特別代理人は、どのような手続きをするのでしょうか?

特別代理人は、裁判所から選任された以上、未成年者に代わって遺産分割協議に参加し、自らの判断で他の相続人と協議することで、決定すればよいかのように思えます。

しかし、実際は、家庭裁判所により特別代理人が選任された時点ですでに分割内容は決定されているのです。

これはどういうことかと言えば、裁判所へ特別代理人選任申立をする段階で、どのような遺産分割協議をする予定なのかを予め遺産分割協議案を提出しなければなりません。そして、裁判所はその内容が未成年者にとって不利にならないのかを確認してから、特別代理人選任の審判がなされるのです。

すなわち、特別代理人が選任されたときに作成される特別代理人選任審判書は、未成年者にとって不利ではないと裁判所が確認した遺産分割協議書(案)が合綴されているのです。

不動産の名義変更や銀行預金の解約・払戻しの手続きをおこなう際には、特別代理人選任審判書の提出が必要であり、そこに書かれている協議内容の通りにしか手続きができないように未成年者の保護が徹底されているわけです。